映画批評ブログ、ただ文句が言いたくて
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2012年01月28日

別離(原題NADER AND SIMIN, A SEPARATION)
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別離(NADER AND SIMIN, A SEPARATION)
87点(100点満点)


別離のオフィシャルサイト

ストーリー
イランのテヘランで暮らすシミン(レイラ・ハタミ)とナデル(ペイマン・モアディ)には11歳になる娘がいた。妻シミンは娘の教育のために外国へ移住する つもりだったが、夫ナデルは老いた父のために残ると言う。ある日、ナデルが不在の間に父が意識を失い、介護人のラジエー(サレー・バヤト)を追い出してしまう。その夜、ラジエーが入院し流産したとの知らせが入り……。(yahoo映画より)

文句
ベルリン映画祭で3冠を獲り、今年のアカデミー賞最優秀外国語映画にノミネートにされた力作。隙のない構成、緊張感が伝わるガチの演技、これがオスカーを獲れなかったらどれが獲るんだよ、と言いたくなるほど完成度の高い家族ドラマ。

映画自体はクオリティーが高すぎて文句が出てきません。なので今回は登場人物に矛先を向けたいと思います。この映画には2人ほど引っ叩きたくなる女が登場します。一人は妻のシミン、もう一人は家政婦のラジエーです。

シミンは冒頭のシーンで離婚裁判にて夫に支離滅裂なことを言います。この国には将来がないから娘のためにも海外に行きたい。そんな私について来てくれないから夫と離婚する。これに対し、夫はアルツハイマーの父親がいるから見捨てるわけにはいかないと反論します。するとシミンは、「あなたのお父さんはアルツハイマーだからあなたが自分の息子だってことすらどうせ分からないじゃないの」などと暴言を吐くのです。

アラブの女は夫に従順だという偏見をこの映画は初っ端から崩してきます。おそらくこの監督は言いたかったのでしょう。手に負えない女はどこの国にもいるんだよ、と。そうこの映画はトラブルメイカーの女たちによって人生を狂わされる哀れな男たちの物語なのです。

夫の許可がないと11歳の娘を海外に移住させることはできないと分かり、妻は仕方なく海外行きを諦め、夫の家を出て実家で別居生活を始めます。海外について来てくれないから仕方なく離婚するなどと言っていた女が国内に残ることになってもやはり離婚の道を自ら選ぶのです。となると娘のために海外に移住したいと言っていた彼女の発言すら怪しくなってきます。本当はただ旦那と別れたかっただけじゃないのかと。
 
その後もシミンは夫が犯してもいない罪を巡り被害者に示談を持ちかけたりとありがた迷惑なことをして夫を困らせます。「これも全ては娘のためよ」などと言って。この女には鞭打ちの刑を。

しかしそんなシミンもラジエーに比べるとかわいいぐらいです。ラジエーは生真面目で信仰心が深い一方で自尊心が強く判断力に欠けるタイプの女で、アルツハイマーの老人の手をベッドの手すりに縛って、そのまま仕事中に外に出て行ってしまうような行動に出ます。そのせいでナデルが家に着くと、アルツハイマーの父親は床に倒れたまま意識を失っていました。どうしても“外出”しなければならない理由があったのならナデルは電話して代わりの人を呼ぶなり、その日は仕事を休むなり他の方法があったはずです。さらに決定的なのはストーリーの一番の争点となる流産の件です。この出来事を巡るラジエーの奇行はもう救いようがない。真面目な女ほど危機的な状況に陥るとぶっ飛んだ行動に出るという良い例です。この女には投石の刑を。

それにしてもアスガー・ファルハディ監督はただ者じゃないですね。エンディングでもジャッジを下すのではなく、ひとつ謎を残して締めくくっているところに人間的な配慮を感じます。あれは一体どっちなんだろう、と大勢で話し合ってみたくなる、そんなラストでした。俳優陣もすばらしいですね。あんなに上手い演技ができても果たしてイランでは俳優業で食っていけるんだろうか、などとついついお節介な心配をしてしまいました。

こんなレベルの高い映画を出されたらそれこそメインのハリウッド映画のノミネート作品が廃れて見えます。完全に主要部門を食っちゃってる。自分にとってアカデミー賞をチェックする最大の理由はほかでもないこの外国語映画部門の存在です。世界中に埋もれている優秀な映画がノミネートや受賞をきっかけに世界の人々の目に触れるようになるのならそれだけでアカデミー賞は十分に大きな役割を果たしていると言えるでしょう。


その他のアジア映画
2009/10/23 長い旅(Le Grand Voyage)
2009/07/03 長江哀歌(ちょうこうエレジー)(英題Still Life)
2009/06/30 Flower in the Pocket(原題)
2009/02/18 ジェリー・フィッシュ(Jelyfish)
2009/01/23 風と砂の女(Desert Dream)
2009/01/14 戦禍の下で(Under the bombs)
2009/01/09 迷子の警察音楽隊
2008/10/29 未来を写した子どもたち Born into Brothels
2008/10/17 季節の中で(Three Seasons)
2008/10/04 らくだの涙
2008/09/13 それでも生きる子供たちへ
  

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Posted by eigaotoko at 06:23Comments(0)TrackBack(0)80点台の映画

2012年01月24日

2012年第84回アカデミー賞ノミネート作品が決定
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ついに2012年第84回アカデミー賞ノミネート作品が決定したようです。



Best Picture

The Artist
The Descendants
Extremely Loud and Incredibly Close
The Help
Hugo
Midnight in Paris
Moneyball
The Tree of Life
War Horse

Best Supporting Actor

Kenneth Branagh, My Week with Marilyn
Jonah Hill, Moneyball
Nick Nolte, Warrior
Christopher Plummer, Beginners
Max Von Sydow, Extremely Loud and Incredibly Close


Best Supporting Actress

Berenice Bejo, The Artist
Jessica Chastain, The Help
Melissa McCarthy, Bridesmaids
Janet McTeer, Albert Nobbs
Octavia Spencer, The Help


Best Actress

Glenn Close, Albert Nobbs
Viola Davis, The Help
Rooney Mara, The Girl with the Dragon Tattoo
Meryl Streep, The Iron Lady
Michelle Williams, My Week with Marilyn


Best Actor

Demian Bichir, A Better Life
George Clooney, The Descendants
Jean Dujardin, The Artist
Gary Oldman, Tinker, Tailor, Soldier, Spy
Brad Pitt, Moneyball


Best Director

Woody Allen, Midnight in Paris
Michel Hazanavicius, The Artist
Alexander Payne, The Descendants
Martin Scorsese, Hugo
Terrence Malick, Tree of Life


Best Animated Feature

A Cat in Paris
Chico & Rita
Kung Fu Panda 2
Puss in Boots
Rango

FOREIGN LANGUAGE FILM
"Bullhead," Belgium
"Footnote," Israel
"In Darkness," Poland
"Monsieur Lazhar," Canada
"A Separation," Iran

DOCUMENTARY (FEATURE)
"Hell and Back Again," Danfung Dennis and Mike Lerner
"If a Tree Falls: A Story of the Earth Liberation Front," Marshall Curry and Sam Cullman
"Paradise Lost 3: Purgatory," Joe Berlinger and Bruce Sinofsky
"Pina," Wim Wenders and Gian-Piero Ringel
"Undefeated," TJ Martin, Dan Lindsay and Richard Middlemas

DOCUMENTARY (SHORT SUBJECT)
"The Barber of Birmingham: Foot Soldier of the Civil Rights Movement," Robin Fryday and Gail Dolgin
"God Is the Bigger Elvis," Rebecca Cammisa and Julie Anderson
"Incident in New Baghdad," James Spione
"Saving Face," Daniel Junge and Sharmeen Obaid-Chinoy
"The Tsunami and the Cherry Blossom," Lucy Walker and Kira Carstensen


やはり主演男優賞のところにブラット・ピットとジョージ・クルーニーが入ってしまってますねえ。監督賞にスピルバーグが入ってないのがなによりの救いです。注目は作品賞のMidnight in Parisと、監督賞のウッディ・アレンじゃないでしょうか。いまだに現役でコメディー撮り続けている彼はすごいですね。ではやっとノミネートが定まったので、近々作品賞ノミネート作品の文句をばしばし言っていきたいと思います。今年も変な作品が獲るんだろうなあ。
  

タグ :ニュース
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Posted by eigaotoko at 23:11Comments(0)TrackBack(0)

2012年01月23日

戦火の馬(原題WAR HORSE)
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戦火の馬(原題WAR HORSE)
28点(100点満点)


ストーリー
農村に住む少年アルバート(ジェレミー・アーヴァイン)の愛馬であるジョーイが軍馬として騎馬隊に売られ、フランスの戦地に送られてしまう。敵味方の区別を知らないジョーイの目に、戦争は愚かさで悲惨なものとして映るだけだった。一方そのころ、アルバートは徴兵年齢に満たないにもかかわらず、ジョーイと会いたいがため激戦下のフランスへ旅立つ。(yahoo映画より)


文句
スピルバーグが“撮った”とされている戦争ドラマ。馬中心に話が進み、人々が終始馬の話ばかりしている馬映画。やれこの馬はいい顔をしているだの、やれあの馬は強そうだの、なぜか登場人物みんなが馬好きで、競馬場のおっさんたちの会話を2時間聞く忍耐のある人だけが見られる一本。


馬目線の話なので、その都度馬の主人が変わって忙しく、また案外誰でも簡単に乗せてしまう忠誠心もへったくれもないアバズレ馬なのが嫌でした。人間たちが放つこの馬に対する尊敬のまなざしもよく分からなかったし、直立不動で兵隊全員が馬が歩くのを眺めている姿なんかは馬鹿でしかなかったです。


この映画は第一次世界大戦の欧州が舞台ですが、アメリカ人をターゲットにしていると思います。フランス人もドイツ人もみんな英語で話すのでアメリカ人に理解し易く作ってあります。アメリカでは馬が神聖な動物とされているので、その神聖な動物と人間の交流を描くことで成功すると思ったに違いありません。ネタの基となっている1982年に発行された小説「戦火の馬」はスピルバーグの取り巻きの誰かが見つけたんでしょう。

「スティーブン、この小説すごいよ。人間と馬の交流だぜ。これを映画化すれば絶対売れるって」
「いや、もう映画は撮りたくない。カリブ海のビーチで寝そべってるほうがましだよ」
「撮るのは他の奴にやらせておけばいいから、いつものように名前だけ貸してくれって」
「そういうことならOK」

こんなふうに映画制作が即決したのかもしれません。もしこの映画を見るなら馬刺しを食べながら鑑賞するのを推奨します。

スピルバーグ監督の作品
イーグル・アイ

  

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